部下のやる気を無意識に奪ってしまう上司は、たくさんいます。あなたが、部下のやる気を奪う上司になってしまわないために、大切なポイントをお伝えします。
変化を嫌う人は多い
働く人の多くは、今の仕事の進め方や方法について、特に良し悪しを考えず何となく進めていたり、時に「アレ?おかしいな…」と思いながらも、そのまま進めているにも関わらず、その進め方を誰かから否定・指摘・注意されると腹を立てたり、ムスッとしてしまいます。
上司が部下に対して、もっともな内容で注意・指摘したとしても、それは同じことです。
- 部下がしばらく続けてきたやり方を改めさせようとする
- これまでやっていなかったことを、ほんの少し追加する など
このように「変化を求める」と、多くの部下は、顔に出す・出さないは別として「拒否反応」を示します。今の自分の仕事が、最良の形で進んでいないことが原因で、上手く仕事が進む別の方法を示され、「この方法にシフトしてくれ」と言われたとしても、拒否反応を起こしてしまいます。
多くの人は、変化を嫌います。これは、どうしようもないことです。
わずか3ヶ月程度、同じ方法や同じペースで仕事を続けるだけで、何か変化を求められると、人によって程度の差はあるものの、もう拒否反応を起こしてしまう…それほど変化を嫌う、変化に拒否反応を起こしてしまう人は、多くいます。
「変化を求められる=否定された」と捉える人が多い
高い低いに関わらず、大抵の人は、自分と自分自身の行いにプライドを持っています。
そのため、自分の進めている仕事のやり方について、「今日から、このやり方に替えてください」といきなり言われたり、メールやSNSで、「変更!」「追加!」と指示を出されると、自分自身やその取り組みを否定されたような感覚になり、腹を立てたり、ムスっとしたり、拒否や否定をしたくなってしまいます。
現状よりも良い方法に替えるための、前向きな変更や追加だとしても関係ありません。どのような変更や追加であろうと、多くの部下は、少なからず変化に対して拒否感を抱きます。程度の差はあれど、多くの部下は、「今の自分、これまでの自分を否定されたような感覚になる」と覚えておきましょう。
あなたが部下を持つ上司なら、部下に変化を求める時、追加で仕事をさせる際は、より慎重になりましょう。
変更・追加の理想的な指示とは?
部下に変更や追加の指示を出す時の、具体的なプロセスは以下の通りです。
- 変更・追加の「狙い」を明確に話す
- そのためには「具体的に何をしなければならないか」を分かり易く話す
- 変更を求める
※現状の仕事について、「今は〇〇のように取り組んでもらっていますが…」と、部下の仕事の現状を理解していることを具体的に伝える - 「今の仕事をどのように変更して欲しい」または「追加で〇〇をして欲しい」と分かり易く、かつ具体的に伝える
- 「狙い」と「必要な取り組み」を再度端的に話し、理解を得て、協力もしくは指示に従って動いて欲しい旨を伝える
- 部下から質問があれば丁寧に回答し、拒否や否定の反応があった場合は、遮らずに一度受け止め、そのうえで「狙い」と「必要な取り組み」を再度話し、理解して取り組んでくれるように説得する
上記のプロセスで、指示や変更、業務の追加を求めることをおすすめします。
多少面倒に感じるかもしれませんが、正しいプロセスを辿って、建設的に伝えるこの方法が、最も有効な部下への指示・命令の出し方です。この方法であれば、部下は完全に納得するとまではいかなくとも、事情を理解してはくれるでしょう。
当然、部下一人ひとりに、心とプライドがあります。上司であるあなたと同じです。そこに適切な配慮をしつつ、
- 伝えるべきことは明確に伝える
- 出すべき指示は出す
このバランスを上手く取り、真摯に事を進められれば、部下は、上司や会社への信頼を増していくでしょう。
とはいえ、中にはどうしても納得しない部下がいたり、日頃は理解してくれる部下が、時として強烈に反発することなどもあるでしょう。しかし、その場合も、ここに記した正しいプロセスで理解を得るように努めることが必要です。
部下のやる気を奪ってしまう上司の行動
最も部下のやる気を奪ってしまう上司のやり方は、変更を求めたり、追加で業務を与える際に、
- ざっくりと「〇〇と決まったから、今日からこうしてね」「来月からこうしてね」と、突然の電話やメールで、結論だけを雑に伝える
- 直接顔を合わせているものの、「上からの方針だから頼むね」と指示や変更点をざっくりとしか伝えない
- 上司自身が、変更や追加の狙い・目的を理解していない
- 準備不足で、分かり易く伝えることができない
このようなやり方は最悪です。また、
- 「社長が言っているのだから仕方ないよ、やってね」
- 「つべこべ言わずにやりゃいいんだよ」
- 「適当にやってさ、多少結果が出れば文句は言われないからさ、うまくやってよ」
このようなやり方も最悪です。これでは、部下のやる気を奪うどころか、部下は「何でこんな奴が上司なんだ…」と、その上司を信頼しなくなるどころか、そのような人物を上司に据える会社の考え方にも疑問を持つでしょう。
社長や幹部と、現場の社員の間に、このような不適格な上司が挟まることで、組織に歪みが生まれてしまいます。適任者がいないから、と不適格な人物に部下を持つ上司のポジションを与えてしまうと、企業や組織はこのようなトラブルの元を抱えることになります。
ほんの少し時間をかけて、正しいプロセスで建設的に指示を出す。
あなたが部下を持つ上司であれば、ぜひ実践してみてください。その時は、多少の手間と時間がかかりますが、部下は、上司であるあなたを「自分を大切にしてくれる上司」と見て、あなたに信頼を寄せるでしょう。
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