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2023.09.13 1Point Learning

部下が辞める上司に欠けている3つの視点

 

「あの上司についた部下はよく辞める」というフレーズを聞いたことはありませんか?私は事業支援で多くの企業や組織に入り、仕事をする中で、このフレーズをよく耳にします。

 

しかし、「あの上司についた部下はよく辞める」というフレーズは、注意が必要です。なぜなら、部下が辞めることは必ずしも悪いわけではないからです。致し方ない理由で退職する部下もいれば、部下に問題があり退職するケースもあります。一概に、下についた部下が辞める上司=悪とは言い切れません。

組織内部の足の引っ張り合いほど、会社にとって不利益なものはない

 

会社や組織がある程度大きくなると、派閥やライバル関係にある上司同士が、互いをけん制することがあります。その際、致し方ない理由で部下が辞めたにも関わらず、「あいつの部下はよく辞める」とライバル同士が攻撃し合うことがあります。それが組織内に広まり、「部下をよく辞めさせる上司」という印象が付いてしまった方を、私たちは何人も見てきました。

 

このような組織内の小さな内部分裂ともとれる不具合は、人の集まる組織であれば、100%防ぐことは難しいでしょう。しかし、経営者や経営陣は売り上げや成果だけでなく、社内の民度を一定以上に保つため、行動指針を明らかにしたり、部下を持つ上司の定義をしっかりと定め、それを確実に周知させていくなどの対応をとり、この不具合を防ぐことが大切です。組織内部での足の引っ張り合いほど、会社や組織全体の利益の伸びを阻害するものはありません。

 

上司がどのような考えで、どう行動をするかによって、その部署や部門が“部下の辞めやすい組織”になるか、“部下が定着しやすい組織”になるか、大きく変わります。今回は、部下がよく辞める上司や経営者に欠けている視点を3つお伝えします。

1.部下一人ずつの業務量を把握していない

 

意外と多く存在するタイプが、“部下が抱えている業務の総量を把握していない上司”です。仕事には

 

  • ルーティンで継続して行う仕事
  • スポットで担う仕事

 

この2つがあります。部下の業務量を把握していない上司とは、この2つの仕事を合わせ、“今、この部下はどの程度の仕事量を抱えているのか?を把握していない上司”です。

 

部下の業務総量をある程度正しく把握していない上司の元で働く部下は、過度に負担がかかったり、毎日忙しく仕事に向き合っているにも関わらず、それを知らない上司から心無い対応をされ、失望します。更にそれが続くと、職場における将来に光が見えなくなり、退職に繋がる確率が高くなります。また、部下によって業務総量に偏りが生まれると、不公平感を抱いた部下が退職を考える原因にもなります。

2.部下の担当業務の難易度や所要時間を把握していない

 

上司は必ずしも部下の仕事を、部下以上のスピードやクオリティでできなくてはならない、ということはありません。上司には上司の責務があるため、それをこなせば良いのですが、部下が担当している仕事について

  • どの程度の難易度なのか?
  • どの程度の手間や時間がかかるのか?

これらを把握する必要があります。直接部下に尋ねる、または部下の仕事の様子を観察し、複数の部下の仕事の進み具合と比較するなどして、部下の仕事の難易度や所要時間を把握しておくことが必要です。

 

これらを把握していないと、余裕のない部下に追加で業務を振ってしまったり、暇な部下を余らせてしまうなど、非常に不効率です。部下によって業務総量に偏りが出ると、部下の中には嫌気が差し、退職を考える者も出てくるでしょう。

3.デキない部下のフォローを誰がしているか把握していない

 

入社歴や年齢、担当する業務が同じでも、“仕事ができる部下”と“そうでない部下”が存在します。その差が大きくなければ良いですが、“全く仕事ができない部下”と“非常に仕事のできる部下”が同じ部署や部門にいると、多くの場合、仕事ができる部下に仕事が集中したり、仕事ができない同僚のフォロー役にまわったりと、部下の負担が確実に増えていきます。

 

優秀であるが故に、周囲の尻拭いやできない部下の仕事も担ってくれる“仕事ができる部下”が正しく評価され、昇進・昇給に繋がれば問題ありません。しかし、常に仕事ができる部下に仕事が集中しているにも関わらず、評価や報酬は仕事のできない部下や貢献度の低い部下とそれほど変わらない状態が続くと、優秀で仕事のできる部下が会社を辞めてしまうことは、容易に想像できるでしょう。

 

上司とは言え、経営者やよほどの権限を持っている上司でない限り、仕事ができる部下だからとは言え、その上司一人の判断で昇給させたり、インセンティブを付けることはできません。このような場合は、上司は仕事のできる部下に過度な負担が集中しないように気を配り、

 

  1. 部下間の業務量や責任のバランスをしっかり取る
  2. 仕事のできる部下のフォローを小まめに行う
  3. 昇進や昇給について適切に上申する

 

など、状況を把握したうえで、正しい対処をしなければなりません。

上司は現場や部下の状況を把握する習慣をつけるべき

 

部下がよく辞める上司に欠けている視点を3つ紹介しましたが、共通しているポイントはマネジメント云々ではなく、とにかく『現場や部下の把握が甘い』ことが言えます。

 

上司や経営者は、部下と友達になったり、特別仲良くなる必要はありません。しかし部下が、明日も明後日も来年も、少なくとも70点以上の満足度で出勤してくれる職場環境を保つため、

 

  1. この部下の状態は、今どんな感じだろう?
  2. 今この部下は、どんな気持ちで仕事や職場と向き合っているのだろう?
  3. そういえば最近○○○なことがあったけれど、意欲は低下していないだろうか?

 

など、その部下の立場となり、想像してみることが必要です。もちろん必要があれば、「どうした?」「大丈夫?」「もしかして〇〇があったことを気にしているの?」と部下に寄り添った声掛けをすることも大切です。

 

これを“日常的に実行している上司”と“そうではない上司”の差は歴然です。部下の生産性が上がると、上司や経営者であるあなた自身が得られる成果も確実に大きくなります。ぜひお試しください。

 

 

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