仕事をしていると、腹が立つことや頭にくることはよくあります。上司や部下・同僚に、時にはお客様に対してもあるはずです。私もまだ人間ができていないせいか、腹の立つことが多々あります。
しかし、今回お伝えする内容を理解してからは、以前より腹を立てる回数が減りました。『自分と他者の違い』を重く捉え、深く考えるようになったことで、“クライアントとの関係性の再構築” “組織運営” “スタッフの育成”などにも役立てられています。
本記事を通じ、日々の仕事への苛立ちや、「それは違う」「どうしてなんだ」という怒りが少しでも抑えられ、無駄に感情を乱さず、気分良く仕事が進められるようになれば嬉しく思います。
仕事において 他者へのイライラの原因となる“3つのズレ”
上司や部下・同僚、時にはお客様に対し、何故腹が立ち、イライラしてしまうのか?理由は人によって様々で、その全てに言及することはできませんが、仕事における他者への怒りの多くは、以下の“3つのズレ”が原因です。
- スピード感のズレ
- クオリティのズレ
- 重要度・優先順位のズレ
この“3つのズレ”が生じると、人は腹が立ち、頭にきます。
1.スピード感のズレ
あなたが部下に、「早めに仕上げて」と依頼した仕事が3日後に提出されたとします。あなたが“2日後まで=早め”と考えていた場合、部下が仕事を亭主つぃた3日目は遅く感じるはずです。しかし、部下はあなたから仕事の依頼を受けた時、「1週間程度が目安かな」と捉え、その仕事を3日目で提出しているため、部下は「全く遅くない」と考えています。
『スピード感』の捉え方は、人によって大きく異なります。
<スピード感のズレを引き起こす要因>
- 元々の性格の違い
- 担当業務の違い
- 視野の広さ
- 少し先の未来を考えているかどうか
- この後、どのように仕事が進行するのか?の把握
“スピード感のズレ”が原因でイライラすることを防ぐ方法は、相手が上司・部下・同僚・お客様・クライアントなど誰であろうと、仕事の発注・受注の際は、必ず『早め』や『いつ頃まで』などの曖昧な表現は一切使わず、『〇月〇日の〇時まで』と期限を明確に設定することです。念を入れる場合は、「何故 〇月〇日の〇時までなのか」その理由まで明確に伝えると良いでしょう。
「部下に対してはいいけれど、上司やお客様には無理…」と思うかもしれませんが、最初に理由とともに期限を伝えておけば、上司やクライアントも、その期日に合わせてくれる確率は高まります。また期限内で対応できない場合も、最初に期限を伝えた際に、「○○が理由で対応できない」と回答があるため、その場でリスケジュールが可能です。後から腹を立てることもなく、トラブルを初期段階で防ぐことができるはずです。
2.クオリティのズレ
仕事に着手する時、上司・部下・同僚・協力会社・お客様などの関係者と「どの程度のクオリティを目指すか?」を共有し、可能であれば具体的な事例を提示しつつ、共通認識を持ってからスタートすると良いでしょう。この作業を怠ると、「何故こんなに雑なの?」または「何故時間をかけて、こんなに手の込んだことをしているの?」と腹を立てる原因になります。
クオリティについては“数値化できない項目”もあるため、仕上がりのイメージを完璧に共有することは難しいですが、抽象的な部分があるからこそ、入念な“初期段階の共有”が重要となります。
3.重要度・優先順位のズレ
<重要度・優先順位のズレによって生じるイライラの事例>
- 重要なプロジェクトの一部を部下に任せたところ、期日直前に雑な仕上がりで提出してきた
- 部下に期日を付けて仕事の依頼をした。本音では、重要かつ手間のかかる仕事のため、「即、着手して欲しい」と思っているが、部下が着手する様子が中々見られない
- クライアントから深刻な相談を受けたため、他の案件を差し置き、急ぎ着手した。そのプロジェクトの報告をした際、「あーはいはい…」と他人事のように話を聞かれた
あなたが『重要度が高い』と認識している仕事に対し、その依頼元・発注先・協力して進めるべきパートナーの捉え方が軽かった、温度が足りなかった時、イライラし、怒りに繋がります。
この防御策は、狙いと目的・必要なスピード感・求められるクオリティを充分に初期段階で共有しておくことですが、そこまでやったとしても効果は50%程度です。いくら懸命に詳細に伝えたとしても、相手の捉え方が軽い、いい加減に映る、ノロノロしている、雑に見える、過度に手をかけているように見えるなど、これらが全てなくなることはありません。しかし、50%程度しか防げないとはいえ、何もしなければ更に酷いことになります。
「残りの50%を防ぐ手立ては?」と聞かれた場合の回答は、「ありません」が正直なところです。強いて言えば、“伝えるべきこと”や“理解して欲しいこと”について、十分な説明をした後は、『相手への期待値を半分に下げておくこと』です。仕事相手には、常に50%程度の期待しかしない、ということです。すると50%の仕上がりや反応を見ても「まぁこんなものか」と思え、70%の成果であれば、本当は100点満点中の70点であっても、「よくやってくれた!」と思えます。
考え方は人それぞれですが、私はここ数年、相手に対する期待を大抵50%に設定しています。一生懸命丁寧に、理解を得られるように説明したとしても、期待値は50%程度に設定します。「これ以上期待するとイライラになって返ってくる」と思っています。この方法は、怒りやイライラ発生の防御策として、非常に効果を発揮しています。
50%の成果では困る場合は、仕事を単調な作業に分割してから共有する
しかし、当然50%の成果では困ることもあります。そのような時は、大きな仕事を3〜4個程度に分解し、一つ一つの仕事がいくつものプロセスを踏まないよう、なるべく単調な作業に分解してください。一つ一つの仕事の難易度を大きく下げ、仕事を依頼・発注し、協力しながら着手するようにしてください。この方法を使えば、仕事自体の難易度が下がり、クリアすべき経由点も減るため、多くの場合、100点満点中70点程度の仕上がりになり、仕上がりレベルの底上げも可能です。
年齢・地位に関係なく、多くの働く大人は、自分がプロジェクトの発起人でない限り、規模が大きく複雑な仕事、つまり“面倒なもの”を後回しにしがちです。その仕事を上手くこなさなければ、自分自身にマイナスの影響があるとしても遠ざけ放置する反面、簡単ですぐにゴールが見える仕事は、割ときちんとこなす傾向にあります。そのため、“仕事を単調な作業に分割してから共有する方法”は、非常に有効と言えます。
上司・部下・同僚、時にはお客様に対して腹を立てたり、イライラの原因となる“3つのズレ”と“その対策”をお伝えしました。仕事を進めるうえで、他にも様々な理由でイライラしたり、腹を立てることがあるでしょう。しかし、イライラして腹を立てると
- 判断が感情的になってしまう
- 目にするもの全てに腹が立つ
- 疲れる
- 怒りの後に虚しさを感じる
など、何一つ良いことがありません。追い討ちをかけるように、「怒るのは人間ができていない証拠だ」などと言われてしまうこともあります。私もよく腹を立てますが、怒りの原因を自分なりによく考え、他者と自分の間の“3つのズレ”について意識することで、イライラや怒りの感情をコントロールできるようになりました。ぜひ実践してみてはいかがでしょうか。
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