部下を持つ上司の多くが、『管理職は部下を管理する仕事』と考えているようです。“管理職”という言葉から『人を管理する職である』とイメージを持つ人が多く、極端にいうと、刑務官による受刑者の管理や、満員の駅で電車に乗客を押し込む駅スタッフのような理解で、『人をモノのように管理しようとしている』と言えなくもありません。
組織における管理職の役割は、人をモノのように管理することではなく、メンバーの一人ひとりの取り組みや、そのプロセスと結果の両方を同時に把握し、停滞があれば、当事者と一緒に解決するなど、『目標達成のためにチームメンバーを支援しながら共に前進すること』です。
組織における管理職の役割
管理職の正しい責務は、適切な目標を設定し、その達成に向けて、メンバーの一人ひとりの行動を把握し、
- 必要があれば修正を加える
- 日常的に促進する
などして、メンバー一人ひとりが担った目標をクリアさせ、その結果としてチーム全体の目標達成に繋げることです。
また、メンバー一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、
- 自らが仕事の意義を見いだし、それをメンバー達に繰り返し伝える
- 成果を上げるためのプロセス・フローを整え、メンバーに繰り返し伝え、浸透させ、実行させる
これらのことをしなければなりません。「いつまでに○○を提出して」と状況を吸い上げ、それをエクセルでまとめてデータ化し、自身の上司や経営者に報告する…これは、“状況吸い上げ&まとめ係”であって、事務作業の価値しかありません。
また、結果だけを吸い上げ、その結果が悪ければ苦言を呈したり、抽象的な檄を飛ばすことも管理職の仕事とは言えません。空気を悪くしているだけです。このようなことを続けていては、メンバーが意気消沈するだけで、成果はさらに悪くなってしまいます。
管理職は具体的にメンバーを支援することが求められる
管理職はメンバーに対して、目標達成に必要な情報やツールを日常的に提供したり、目標達成の障壁を発見し、それを取り除くなど、具体的に支援することが求められます。
- 取り組みの目的:何のためにやるのか?
- 具体的な手法
を詳細に渡って説明せず、「とりあえずこれをやれ」と強引かつ雑な指示を出すだけの管理職も多くいますが、それでは、自発的かつ飛び抜けて優秀な一部のメンバーが勝手に成果を上げるだけで、チーム全体・組織全体で大きな成果を上げることは不可能です。
管理職は、相手の能力・性格・置かれている状況を把握し、一人ひとりが、最大の成果を上げられるよう
- 指示を出す時は、その目的と共に、とにかく具体的に指示を出す
- メンバーを日常的に観察し、一律でなく、一人ひとりに合ったコミュニケーションを取る
このような対応をしなければなりません。
“優れた管理職”と“質の低い管理職”の違いは、
- メンバーの一人ひとりと最適なコミュニケーションを取り、メンバーそれぞれを把握し、一人ひとりが最大限の力を発揮できるように導けるか?
- 充分な説明をせず、雑な説明・指示を出すだけで、指示を出した後は、結果を吸い上げるまで放置し、吸い上げた結果に腹を立てるだけか?
この違いです。優れた管理職は、メンバー一人ひとりを活かし、それをチーム全体の目標達成に繋げます。そして、管理職である自身は、“メンバーのために存在する”と理解して行動します。
経営者の立場にある方、部下を持つ上司の立場にある方は
- 自分は、“メンバーのために存在する管理職”といえるか?
- メンバーが結果を出し、チーム全体で目標を達成するために、自身の存在はプラスに働いているか?
これを定期的に見直すことをおすすめします。
今回はチームとして、組織として、複数人で大きな成果を狙う部下を持つ管理職の在り方についてお伝えしました。あなたが経営者や、部下を持つ上司の立場にある場合、また将来上司として部下を率いる立場になりたいとお考えなら、ぜひ参考にしてください。
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